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青山学院大学のサンプル問題を全解説!!GMARCHから一歩抜け出るか?【2021年度】

去年、青山学院大学は大学HPに、2021年度の入試問題のサンプルを提示しました。

www.aoyama.ac.jp

上記リンクの「2021年度一般選抜および大学入学共通テスト利用入学者選抜の概要(別表/一般選抜における出題の例示および意図・狙い)【2020年3月19日更新】(PDF)」をご覧ください。

 

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各学部によってさまざまではありますが、見たところかなりの学部学科の入試問題が改悪されておりました。

そこで、今回はサンプル問題を見ての簡単な解説や青山学院大学が目指している姿についてお話ししたいと思います。

青山学院大学が、上智を超えようとしているのか…?

 

 

 

1,文学部英米学科B方式「総合問題」

2019年の問題構成は、

1⃣長文読解(パラグラフリーディング)

2⃣英文和訳

3⃣並び替え

4⃣自由英作文

5⃣リスニング

でした。

青山学院大学の長文読解は、文章の順番に設問が用意されているので、

【設問→文章】

という順番で取りかかえれば、時間のロスが少なく済みます。

時間がかかるのが、2⃣の英文和訳と4⃣の自由英作文です。

自分で文章を作らなければいけないので、ここで多くの時間を使います。

そして、5⃣のリスニング。

これは自分の都合を一切無視して大学側がリスニングを開始してきます。

終了まではずーっとリスニングの時間です。受験生にとって一番自由が利かない時間帯です。

 

さて、2021年度入試のサンプル問題では、このような記載がありました。

2016年度一般入学試験(個別学部日程)文学部英米文学科A方式「英語」の問題1⃣のような文章を読み、下記のような英語の設問に英語で答える。

 

設問1:Write a paragragh of roughly XX words in which you discuss the advantages and disadvantages of France's new policies to reduce light pollution. Justify your views with specific reasons and examples.

 

設問2:Are you for or against France's new policies to reduce light pollution? Within XX words, clearly express your viewpoint.

念のため2016年の問題を見てみましたが、2019年度と同様の出題形式でした。

 

長文読解(パラグラフリーディング)の問題が、

英作文の問題に変化していたのです。

 

しかも、このサンプル問題からわかる問題点は、

自由英作文ではなく、小論文を英語で記述する

ということです。

なんということでしょう。

 

設問1では、「光害に対するフランスの新政策に対する意見と例」を書かなければいけません。

さらに、設問2では「フランスの新政策に賛成か反対か」を述べなければいけません。

 

これはどこかで見ませんでしたか?

 

 

 

そうです。

慶應義塾大学の小論文です。

 

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しかもそれを英語で書かなければいけませんので、気軽に英米文学科を受験できなくなりました。

 

さらに、英語の問題においても意見を述べる問題が出題されます。

2017 年度一般入学試験(個別学部日程)文学部英米文学科 A 方式「英語」の問題Ⅰ のような英文を読み、下記のような英語の設問に英語で答える。
設問: What do you think is necessary to encourage the participation of women in public affairs?
Give at least three examples from the text and discuss them from your own point of view within XX words.

2016 年度一般入学試験(個別学部日程)文学部英米文学科 B 方式「Listening & Composition」のA. Listening の Part Ⅱ.~ Part Ⅳ. のような英文を聞き、下記のような英語の設問に英語で答える。
設問: Write a paragraph of roughly XX words in which you discuss the characteristics desirable in future leaders as they overlap or differ from those of Steve Jobs. Justify your views with specific reasons and examples.

 

設問自体は「総合問題」と似ています。

ただ、これだけ書かされるのは精神的にすごく疲れそうです。

 

「真の英語力」

を持つ学生が欲しいということがわかりますね。

 

志望している高校生は、ぜひ一度考えてみてください。

 

2,文学部比較芸術学科「小論文」

比較芸術学科では、「小論文」が課されるようになりました。

今までは、他の学科と同様、国語のオーソドックスな問題でしたが、ついに「小論文」が導入されました。

 

サンプル問題には、

(1)文章の要約、(2)文の主題について自身の関心分野に照らして論述。具体的な作品名も必須。

 とあります。

文章は、「西洋の美術が日本の美術史に与えた影響」について述べられており、読むこと自体は難しくありません。

簡単な内容は以下の通りです。

日本の美術史、特に近現代においては「日本画vs西洋画」という対立があり、日本画という存在を守ることに必死だった。だからこそ、日本の美術史において明治様式や大正様式のような「時代的様式」が生まれなかった。今もなお、日本画と西洋画という区別が強く残っているため、日本画の時代的様式の創造を阻んでいる。したがって、新しい様式の創造には、両者の区別をなくしていかなければならない。

以上です。

 

みなさんは具体的な作品を思い浮かべ、記述することができますか?

今から考え、記述する練習をしておきましょう。

 

3,文学部史学科「地理歴史」

こちらの学部では、通常通りの設問構成に加えて、論述問題が追加されます。

今までの問題は、記述問題はありましたが、「一問一答形式」でしたので、難易度は低いほうでした。

しかし、2021年度入試では論述が出題。

3学科連続で、

【文章を書かせる】

問題形式が生まれました。

 

サンプル問題には、このような問題が出ていました。

<世界史>以下のA、Bのうちから一つ選び、答えなさい。

【A】フランス革命の過程について、以下の用語を用いて350字以内で説明しなさい。

<用語>三部会 国民議会 人権宣言 共和政 恐怖政治 総裁政府 統領政府 第三身分 バスティーユ監獄 ロベスピエール ナポレオン=ボナバルト

 【B】下記の資料を読んで、13世紀におけるモンゴル帝国とヨーロッパとの交流について、この資料成立の背景を含め、下に提示された語句を用いて350字以内で説明しなさい。

<語句>バトゥ、インノケンティウス4世、十字軍、大都、モンテ=コルビノ

<日本史>次の設問A、Bのうちから一つ選び、答えなさい。

【A】8世紀前半、日本では三世一身法や墾田永年私財法が定められ、それまでの土地政策が変更された。ここではそれらの内容を説明し、これ以降土地制度がどのように変わっていったかを350字以内で記しなさい。

【B】弥生時代の墓制について、時期的な変化や地域ごとの特色をふまえ、具体的な事例を挙げて、350字以内で説明しなさい。

 というものです。

世界史の出題形式は、筑波大学千葉大学新潟大学で出題されています。

日本史の出題形式は、大阪大学九州大学で出題されています。

 

上記のように、国公立大学の問題形式に類似しています。

つまり、文学部史学科では、「難関国公立」を志望している受験生が欲しいことがわかります。

 

4,教育人間科学部教育学科「小論文」

具体的な問題はありませんが、出題構成が記載してあります。

「設問Ⅰ」と「設問Ⅱ」を設け、試験時間は「設問Ⅰ」「設問Ⅱ」合わせて90分の予定。

「設問Ⅰ」では、図表を分析し、論述する問題を2問想定。

(1)図表の分析を200字以内で論述

(2)図表の分析を活かし、考察を300字以内で論述

「設問Ⅱ」では、文章読解後、論述する形式を想定。

文章を要約し、内容に関して具体例を挙げて自分の考えを800字以内で論述

とあります。

内容としては、当初の予定であった「大学入学共通テスト」の国語の新形式問題ですね。

こちらも大学入試センターのHPにサンプル問題があるので、見てみてください。

www.dnc.ac.jp

 

 

5,教育人間科学部心理学科「小論文」

心理学科では、次の説明にあるような「設問Ⅰ」と「設問Ⅱ」の2問を設け、試験時間内に両方について解答することを求める予定である。
〇「設問Ⅰ」の説明
対比・比喩・例示・因果・推論・俯瞰・想像など種々の思考展開を含んだ、ある程度の長さを持った文章を、問題文として読んでもらう。使用する文章は、人文・社会・自然・数理・批評・物語などの様々なジャンルから選ばれる。問題文は、大学で学ぼうとする者ならば読み解けて欲しいと出題者が願う水準の文章から選ばれる。
問題文の読解に基づいて、文章全体の要旨を把握できているかどうか、論理展開が再現できるかどうか、筆者の意図を的確に抽出できるかどうか、問題文の要求に基づく思考を経由して適切な答えを導き出せるかどうか、文書内容を応用する形で自分の考えを(単なる感想や意見ではない思考を)正確な日本語で記せるかどうか等々を、字数制限のある記述式の問題によって判定する。

たとえば、要旨の把握は、文章全体にタイトルをつけてもらったり、要約文を作成してもらったり等々によって判定する。また、応用的な展開が記述できるかどうかは、問題文が使用している例や比喩などとは異なるものを使って、同様の論を構成することができるかどうか等々によって判定する。
あるいは、問題文の内容に基づいて論理的な思考ができれば、一定の解答が導き出せるような文章を問題文として使用することによって、思考力を判定する。それらの判定方式は多数ありうるし、組み合わせて複合的にもなりうる。

〇「設問Ⅱ」の説明
いろいろな事象の数値について、時間経過にともなうその値の変化や、他の要因との関連を示すデータを提示する。出典は、官公庁が発表している白書などを予定している。なお、データの図表を複数提示する場合もある。
出題構成としては、まず、提示されたデータから確実に読み取れることを記述してもらう。

たとえば、ある数値の経年変化を示す図表から傾向を読み取ったり、ある数値を男女別や年代別などの要因で分けて示した図表を見て関連を読み取ったりする能力が問われる。複数の図表を総合的に分析する能力を問うこともある。
さらに、読み取った内容に基づいて考察する能力を判定するための問いを設ける。

具体的には、読み取った内容に対する受験者の意見が問われるほか、データの背景を分析したり、データから予測できることを論じたり、データに基づく問題提起をしたりすることが求められる。

説明が長い。

 

簡単に言えば、

「設問Ⅰ」では、ある程度の長さの文章を要約、記述せよ。

という問題。 

「設問Ⅱ」では、図表の読解、分析、自身の意見を論述せよ。

という問題。

 

現代文によく出てくるテーマについてはきちんと背景知識を頭にいれておきましょう。

そして、論述の問題になりますので、普段から文章を書く練習をしておきましょう。

 

6,法学部法学科A方式「総合問題」

こちらもサンプル問題はありません。以下のような説明が記載されています。

日本史B」「世界史B」(ともに17世紀以降)、「政治・経済」に関わる長めの文章や図表を用いて、読解力、表現力および論理的思考力を問う出題を行う。

出題内容は、問題文に含まれる図表の読解をもとに各科目の基礎的内容の総合理解を有することを確認するものを予定。

出題構成は、マークシートと論述を併用予定。

 これも教育人間科学部同様、「大学入学共通テスト」に出題されるはずだった内容に近しい問題を出題しそうですね。

しかし、内容をある程度限定してくれているのがありがたい。

説明文には、「日本史B」「世界史B」「政治・経済」の3教科が記載されていますが、近現代の問題ですので相関性は高いです。

日本史の資料集の巻末には日本と世界の時系列での出来事が図示されていますし、日本史の近現代史をやっていると、ある程度の政治・経済の内容も触れます。

特別な勉強が必要なわけではありません。

 

科目として勉強するのではなく、あらゆることに関連付けて勉強することが重要になりそうです。

 

7,経営学経営学科・マーケティング学科A方式・B方式「外国語」

これは、大幅に変わりそうです。

今まで、図表入りの英文はほとんど出たことはありませんでした。

さらに、英語の問題でありながら、日本語での150字以内記述があります。

サンプル問題では、【「先進諸国」と「発展途上国」における食品ロスの発生原因の違い】を聞いています。

本文中に記載されている内容をきちんと表現できるか

が問われています。

 

過去問があまり当てにならないかもしれません。

 

 

8,国際政治経済学部国際政治学科A方式・B方式「総合問題」

 

<解答必須問題>

https://www.aoyama.ac.jp/wp-content/uploads/2019/07/ad_2021_kobetsusample_20-2_20190708.pdf

 

<選択問題>

1⃣

https://www.aoyama.ac.jp/wp-content/uploads/2019/07/ad_2021_kobetsusample_20-3_20190708.pdf

2⃣

https://www.aoyama.ac.jp/wp-content/uploads/2019/07/ad_2021_kobetsusample_20-4_20190708.pdf

 

解答必須問題は

日本語と英語の資料が提示され、それらについての設問が続きます。

主に図表読み取りが問われていますが、一部50~80字程度の記述があります。

 

選択問題は

1⃣が計算や図の書き起こしが必要な問題が出題、

2⃣が英文を読み、文章に関する問題が出題されています。

 

かなり骨を折りそうですね。

 

ちなみに、国際コミュニケーション学科も同様のサンプル問題でした。

 

9,総合文化政策学部総合文化政策学科「総合問題」

内容は下記のリンクをご覧ください。

https://www.aoyama.ac.jp/wp-content/uploads/2019/08/ad_2021_kobetsusample_23-2_20190801.pdf

 

出題傾向としては法学部法学科と同様です。

ただ、問題文がこちらは不思議です。

「国語と社会科の融合問題」といったところでしょうか。

政教分離についての文章を読み、設問を見ると最初の漢字の問題が…。

進めていくと、歴史や政治・経済、倫理の問題が出ています。

 

科目横断型の授業を受けている子は有利かもしれませんね。

ただし、複合的な問題なので、難易度は少し抑えられているように感じます。

受験テクニック的にいうなれば、

「広く浅く」やっておけばいいでしょう。

最終問題で語句を使った記述問題が出ていますが、文字数が60字程度なのでしっかり語句を活用し、文章を作ればあっという間に制限文字数に達するものでした。

 

10,社会情報学部 D方式「総合問題」

https://www.aoyama.ac.jp/wp-content/uploads/2019/07/ad_2021_kobetsusample_33-2_20190708.pdf

 

問題文だけあります。

現代のテーマが出題され、各設問に図表やグラフが出てくるのでしょうか。

今回の文章は、「政治・経済」中心でしたが、本番ではどのような問題が出るか…。

社会科を題材とした問題が出るとは思います。

 

11,地球社会共生学部「小論文」

こちらは過去問と同等の問題が出そうです。

すでに、図表を読み取り、それに対する分析や自分の考えを論述する問題が出題されていましたので、他学部に先行した取り組みを行っていたことがわかります。

もしかしたら、入試改革へ向けて青学が独自でデータをとるためにこのような出題形式にしていたのかもしれません。

 

12,コミュニティ人間科学部「小論文」

こちらもすでに過去問で図表読み取り、論述が出ています。

やはり青学の歴史の浅い学科ではお試しとしてこのような問題を出題していたかと思われます。

※地球社会共生学部は2015年4月開設、コミュニティ人間科学部は2019年4月開学。

 

 

 

以上です。

 

感想としては、

青山学院大学GMARCHからの脱却を図っていることがわかります。

国公立大学のような問題を出す学部学科もあれば、早慶のような問題を出す学部学科もある。

そして、青山学院大学アイデンティティともいえる、「英作文、英文読解」という長所が存分に活きています。

 

これまで以上に受験するためのハードルが上がりました。

 本音ではあまり言いたくありませんが、

是が非でも合格したい人は、今まで以上に青山学院大学対策】をする必要があります。

青山学院大学が強敵になりそうです。

 

 

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