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令和2年度センター試験 国語 問題解説<古文>

2月になり、本格的に一般入試が開幕。

連戦が続き、身体的よりも精神的な疲労に苦しむこともあると思います。

モチベーションが下がってきたときには、下記記事をご参照ください。

 

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さて、今回は第3問の古文です。

古文以降は解かなくても良い人も多いかと思いますが、ご参考になれば幸いです。

 

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3 作者未詳 『小夜衣』より

『小夜衣』は、兵部卿宮(宮)と姫君の恋に継子いじめを絡ませた物語。

 

古文はリード文が非常に重要な役割を担っています。

リード文では、以下の内容に注意しましょう。

  1. 主人公は誰か
  2. 登場人物は誰か
  3. それぞれの登場人物の関係は何か
  4. どのような場面なのか

ほとんどの場合では記載がありますので、きちんと人物関係と場面まで読み取って文章に行きましょう。

 

各設問の特徴、見るべきポイント

問1は例年通り古文単語の問題です。

問2は「敬意の方向」について。

問3は内容説明問題。設問をしっかり読むことで、解答への近道が示されています。

問4は「尼上の思い」について。本文中の尼上のセリフを追いましょう。

問5は「女房たち」の心情について。心情については<小説編>で解説した通り、

   順序だてて考えましょう。

問6は文章内容のまとめの問題。

 

詳細解説

問1 古文単語

毎年、3問出題されますが、2問は必ず即答できる問題です。

つまり、文章を読まなくても解ける問題です。

時間の制約が厳しい国語の試験において、このような時短できる問題で即答できるか否かがセンター国語の出来・不出来を決めます。

(ア)「ゆかし」、「おぼしめす」の理解

・「ゆかし」は

①見たい、聞きたい、知りたい

②心が惹かれる、懐かしい

・「おぼしめす」は

①お思いになる(尊敬語)

 

これらが分かれば、即答ですね。

 

(イ)「やをら」

・「やをら」は

①ゆっくり、静かに、そっと

 

(ウ)「重なれる」の【る】と「あはひ」の理解

・「る」は助動詞です。

※助動詞の文法書で「る・れの識別」をきちんと行いましょう。

本文では、「完了・存続」の【り】です。

・「あはひ」は

①間、隙間

②仲、間柄

③組み合わせ、色の調和

④情勢

この問題が唯一本文の内容を踏まえる問題でした。

傍線部前後で衣服に関する話になっていますので、③の「色の調和」が良いでしょう。

 

問2 敬意の対象

敬語の問題です。

波線部aは謙譲語(行為の受け手、対象への敬意)

波線部bは尊敬語(行為の主語への敬意)

波線部cは丁寧語(話の聞き手、相手への敬意)

波線部dは謙譲語(行為の受け手、対象への敬意)

 

本文では、宮には尊敬語が使われていますので、基本的に尊敬語であれば主語は宮と考えてよいでしょう。

ただし、波線部bと波線部cは会話文になっていますので、尊敬語の敬意の対象は「相手」となりますので注意してください。

 

問3 内容説明

設問に大きなヒントが書いてあります。

「宮は何に対してうらやましく思っているか。」という部分です。

<小説編>で解説しましたが、

【原因・理由】→【心情】→【発言・行動】

が重要な考え方となります。

つまり、傍線部の前を読むことで、

【原因・理由】

を把握できます。

前文に仏事に励む尼上の様子と、

この世にてもつれづれならず、後の世はまたいと頼もしぞかし。

とありますので、現代語訳がわからなくとも、肯定的に捉えていることが分かります。

さらに、この世(現世)と後の世(来世)という内容を踏まえている選択肢を選びましょう。

 

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問4 「尼上の思い」について

これも、問3同様ですね。

【心情】だけを答えるのではなく、その【原因・理由】も探しましょう。

 

前文に

「さる者ありと御耳に入りて、老いの果てに、かかるめでたき御恵みをうけたまわるこそ、ながらへ侍る命も、今はうれしく、この世の面目とおぼえ侍れ。」

とあります。

また、傍線部重要語は

「つてならで」=伝手ではないで=「直接」

 となる。

それらの内容を踏まえた選択肢を選ぶこと。

 

問5 「女房たち」の心情について

これも【心情】を聞いていますが、何度も言っている通り解答の要素には【原因・理由】も合わせて考えましょう。

 

しつこいほど繰り返していますので、気づいているかと思いますが、古文は基本的に物語文なので、<小説編>と同様の思考で解くことができるのです。

 

今回も傍線部直前に

げに、姫君に並べまほしく、

と書いてあります。

「まほしく」は助動詞ですね。

①~したい

②~するのが望ましい、~てほしい

 

という意味ですので、「姫君と並べたい」のは「宮」ですね。

 

問6 内容一致問題

各選択肢ごとに内容が異なっています。

難しい選択肢はなく、細かく検討していけば問題なく解答できるでしょう。

 

①は垣間見(=のぞき)をした人物は姫君ではない。

②は兵部督は宮のお供のため、人物関係が異なる。

③は尼上が死後のことを宮に頼んだという記載はない。

④は「一方」以降の内容に注目。「宮が出家して姫君と一緒に暮らしたい」という内容は述べられていない。

 

 

<配点>

問1 5点×3問

問2 6点

問3 7点

問4 7点

問5 7点

問6 8点

 

合計 50点

 

難易度:やや易しい

 

 

 

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