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令和2年度センター試験 国語 問題解説<小説>

中国の武漢では新型肺炎の蔓延が連日ニュースになっていますね。

 

日本ではインフルエンザが流行しています。

今年はA型のようですね。高熱が出るインフルエンザですので、くれぐれも手洗い・うがい・顔洗いを忘れないようにしてください。

 

さて、今回は前回の評論文に続き、第2問の小説編です。

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評論文のほうから見たい方はこちらからどうぞ。

 

www.manabiya-online.work

 

 

2 小説 原民喜著 『翳』より

戦時中のお話です。

戦後の小説が近年出題されておりましたので、面食らった人もいるかと思います。

ただ、小説の解き方は基本的に評論文と同様に、「論理的に解く」ことが重要です。

 

小説では心情を聞かれることが多いです。

心情の前後に【原因・理由】が描かれていますので、その【原因・理由】をきちんと把握しましょう。

 

基本的な流れとしては、

【原因・理由】→【心情】→【発言・行動】

という流れで記載されているケースが多いので、傍線部付近を中心に必要な要素を拾っていきましょう。

 

各設問の特徴、見るべきポイント

問1は毎年恒例の語彙です。

問2は言い換え問題です。

問3は心情です。前述の要素を見つけるようにしましょう。

問4は「態度」に関する問題ですが、傍線部での心情を聞いていると解釈して構いません。

問5は頻出の「心情の変化」です。2つ以上の要素が必要になることに注意しましょう。

問6は文章の表現に関する問題です。解き方は評論文の時と同様です。

 

詳細解説

問1 語彙

語彙の問題は、必ず傍線部の辞書的な意味から考えるようにしてください。

安易に本文中の意味から推測だけで解くと、ミスリードしているときに間違えてしまいます。

辞書的な意味から選択肢を絞り、消せない選択肢があった場合に本文中の意味で解きましょう。

※例年、3問中2問は辞書的な意味のみで解答できる問題です。

普段の学校の授業や塾の教材内でわからない言葉が出てきた際には、辞書を引く癖をつけておきましょう。

 

問2 言い換え問題

小説の言い換え問題は難しいように感じますが、傍線部を分析し、必要な要素を洗い出しましょう。

特に、今回の傍線部は

そうした、暗い、望みのない明け暮れにも、私は凝と蹲ったまま、妻と一緒にすごした月日を回想することが多かった。

となっています。

ポイントは2つ。

  1. 傍線部の「+」、「-」を考える
  2. 指示語「そうした」の内容を追う

です。

「+」は良い感情、「-」はよくない感情です。

今回の傍線部では、

暗い、望みのない明け暮れ

という部分が「-」の感情になっています。

そして、その「-」な感情であっても

妻と一緒にすごした月日

が明るいもの(「+」の心情)であったことがわかります。

別の解釈をすると、

【妻と一緒にすごした月日】を『今でも忘れることができない』

となるでしょう。

つまり、今でも「私」は妻への想いを持ち続けていることがわかります。

これをきちんと理解していれば、解答を出すのに困らないでしょう。

 

問3 心情を答える問題

繰り返しになりますが、心情問題は

 【原因・理由】→【心情】→【発言・行動】

で考えます。

今回の問題は非常にわかりやすいヒントが書いてあります。

それは、32行目

こうした、のんびりした情景はほとんど毎日繰返されていたし、ずっと続いていくもののようにおもわれた。だが、日華事変の頃から少しずつ変っていくのであった。

という部分です。

これは傍線部の前と文章の形が酷似しています。

のんびりした情景(「+」の内容)が、次第に変化する(「-」になっていく)

という内容ですね。

したがって、上記部分を踏まえることが正解への近道となります。

 

問4 その時の心情について

「態度」を聞いていますが、前述のとおり【発言・行動】は心情を表しているものです。

つまり、傍線部時点での【心情】を読み取ることが解答となります。

そして、【心情】を答えるためには、その前にある【原因・理由】が必要なのです。

 

必要な情報を整理すると、以下のようになります。

  • 除隊後に軍服姿で「私たち」の元を訪れた
  • きちんと立ったまま、ニコニコしていた

これが傍線部付近で手に入れられるヒントです。

 

しかし、もっと重要なヒントが後述されています。

それは、89行目

久振りに訪ねて来ても、台所の閾から奥へは遠慮して這入ろうともしない魚芳。

という部分です。

ここから、「遠慮」という内容がわかりますね。

これらの要素を踏まえて、解答をしていきましょう。

 

 

このような、ある意味人物像を問う問題に関しては、問題文全体を通して解答しなければいけない問題となります。

傍線部直前部だけでは、解答を出すことが困難だったと思います。

 

問5 感情の変化

感情の変化は、問4の人物像を問う問題同様、広い視野で文章を読む必要があります。

今回は選択肢に前半部分と後半部分の心情の変化を具体的な行数が指定されているので、非常に見やすい問題だと思います。

各選択肢は時系列順で構成されているため、選択肢同士で悩むことは少ないと思います。

きっちり本文を吟味すれば、解答できるでしょう。

 

問6 表現に関する問題

これは、評論文と同様の解き方となります。

ただし、小説の表現を問う問題では、

「印象的」や「ユーモラス」などの抽象的な形容詞

には十分注意してください。

後回しにしても問題ありません。

 

最終的な判断では絡んできますが、すべての選択肢に上記のような抽象的な形容詞が使われているわけではありません。

まずはそれ以外の選択肢を吟味していくことが重要です。

 

<配点>

問1 3点×3問

問2 7点

問3 8点

問4 8点

問5 8点

問6 5点×2問

 

合計 50点

 

難易度:標準