令和2年度センター試験 国語 問題解説<評論文>
最後のセンター試験お疲れ様でした。
今回は、2020年1月18日(土)、19日(日)に行われたセンター試験の問題を解説していきます。
本日は国語~第1問 評論文~です。
1 評論文 河野哲也著 『境界の現象学』より
「レジリエンス」という概念について、さまざまな学問における意味を紹介しつつ、筆者の意見を述べるという論理展開になっています。
取り上げられた話題の中心がわかりにくい概念でしたが、本文内で様々な説明が行われていたので、論旨をつかむのは難しくなかったように思います。
ただし、センター評論文の解法でもありますが、「設問がどの範囲について聞いているのか?」ということをきちんと理解していることが重要です。
各設問の特徴、見るべきポイント
問1の漢字は例年同様の問題です。
問2は「違い」を聞いていますので、2つの内容が正しいものを選ぶ問題です。
問3,4は「どういうことか?」という問題ですので、本文中の言い換え問題です。
問5は会話文中心ではありますが、本文の抽象的な内容を具体的に言い表している内容を選択する問題です。
問6は文章の表現に関する問題。こちらは過去問でもよく触れていた問題でしょう。
詳細解説
問1は各々で調べてみてください。
<問2>2つの言葉の違いについて
回復(サステナビリティ)とレジリエンスの違いは何か?という問題です。
第4段落に、
「レジリエンス」は環境の変化に動的に応じていく適応能力のことである。
とあります。
また、傍線部がある第5段落2行目には、
「たとえば、回復とは~~~」
とありますので、第4、5段落を中心に選択肢を見ていきましょう。
今回の問題のように、2つの物事(A,B)の違いなどについては上智大学でよく出題されます。
上智を受ける人は、2項対立の構図を理解するようにしましょう。
<問3>言い換え問題
「脆弱性」についての問題です。
「どういうことか?」という問題は、傍線部の言い換え問題です。
本文中に「」がついている語は、辞書的な意味だけでなく、違う意味も持っていることを表します。
当然、本文で説明されている意味を強調したいときに使用しますので、内容をきちんと把握しましょう。
今回の問題で重要になるのは、第10段落にある
脆弱性は、レジリエンスを保つための積極的な価値となる。なぜなら、脆弱性とは、変化や刺激に対する敏感さを意味しており、このようなセンサーを持ったシステムは環境の不規則な変化や攪乱、悪化にいち早く気づけるからである。
という部分です。
この内容を反映している選択肢が解答になります。
選択肢では、若干具体例が含まれていますが、上記引用部分の次の文章に「たとえば~~~」とありますので、こちらも参照していけば容易に解答にたどり着けるでしょう。
また、本文中に常に言われているように、レジリエンスとは変化する環境の中で、柔軟に適応していく能力です。
これは本文全体の論旨ですので、どのような問題でも回答の根拠になる点は忘れないでください。
<問4>言い換え問題
傍線部で重要な語は、「福祉」です。
ミニマルは今回すべての選択肢で「最小」としていますので、気にする必要はありません。
では、「福祉」とは何か?それは第13段落にある
福祉とは、その人のニーズを充足すること
です。
そして
ニーズとは人間的な生活を送るうえで必要とされるもの
と定義されています。
さらに次の文章以降において、レジリエンスについての筆者の主張が再度述べられています。
第14段落の最後の文章に、
したがって、ケアする者がなすべきは、さまざまに変化する環境に対応しながら自分のニーズを満たせる力を獲得してもらうように、本人を支援することである。
とありますので、福祉とは「支援すること」であると言えます。
これらの内容を合わせて選択肢を見てください。
<問5>具体例を考える
会話文の内容です。通常の問題では、傍線部をより抽象的に言い換えている選択肢を選ぶ問題が多いですが、今回の問5のような問題では、本文の抽象的な内容を具体的にとらえている選択肢を選ばなければいけません。
ただ、これは問3や問4に比べると簡単です。
解答すべき内容は、「レジリエンス」です。
つまり、何度も言っていますが、「変化する環境に適応していくこと」を具体的に述べている選択肢を探しましょう。
特に、空欄直前の会話で第5段落が挙げられていますので、そこを中心に良い具体例を述べている選択肢を探すだけですね。
<問6>表現
これは各選択肢をよく読み、段落中においてどのような論理展開なのか、一語が持つ効果を考えましょう。
配点
問1 2点×5問
問2 8点
問3 8点
問4 8点
問5 8点
問6 4点×2問
合計 50点
難易度:やや易しい