日本史の学習法~たった3つのコツ~
- 高等学校での地理歴史科目の変更について
- こんなことに困ってないですか?
- 日本史の学習法
1.高等学校での地理歴史科目の変更について
2022年度から、高等学校で地理歴史の科目に変革が起きました。
1年生では歴史総合・地理総合をそれぞれ2単位
2年生では日本史探究・世界史探究から1科目選択し、3単位
これまでは、
1年生は日本史A・世界史Aをそれぞれ2単位
2年生で日本史B・世界史Bから1科目選択し、5単位
でした。
単位数が減少した=授業の進みも遅くなる
ではありません。
これまでのような講義型の授業ではなく、思考力・判断力・表現力を養うよう背景知識を生かして仮説を立て、検証することが一層求められるようになりました。
2.こんなことに困ってないですか?
1年生の歴史総合はなんとなくできたけど、2年生の日本史探究になって進度も早くなり、習っている内容も難しくなった…。
これまでの勉強方法が通用しなくなってきて定期テストが解けるか不安…。
こんな人に今日は「日本史の学習法」を3つ紹介します。
3.日本史の学習法
結論から言います。コツはたったの3つです。
- まずは時代の特徴をつかもう
- 変化の要因と内容をつかもう
- 語句は何度もアウトプットしよう
たったこれだけです。
1つずつ説明します。
1.まずは時代の特徴をつかもう
旧石器時代を友人に説明するとき、みなさんは細かい知識から伝えますか?
きっと違うはずです。
「大型動物をおいかけてたんだよ~。」
とか
「氷河時代って聞いたことある?すごい寒かったんだよ~。」
とか
「モンスターハンターやったことある?あんな感じ」
このように、簡単に・相手にも理解できるような内容で伝えますよね。
つまり、その時代のイメージを伝えるはずです。
時代のイメージ=【時代の特徴】です。
この時代の特徴をいかに簡潔かつ明解につかむか、が大事なのです。
これは、教科書だけでは難しい。
その時に使えるのが資料集です。
写真やイメージ図をもとに、想像してみること。
資料集が分かりにくい場合には、YouTubeや学習サイトで映像を見るといいでしょう。
では、その時代の特徴をつかんだら、次にどうすればいいのか?
2.変化の要因と内容をつかもう
歴史は、様々な要因によって変化があります。
力を持っていた天皇が亡くなった
とか
外国から攻められた
とか
稲作が大陸から伝わった
などです。
では、その変化の要因から、どのような変化の内容が生まれたのか。
これを関連付けることが重要です。
例えば、
変化した内容は、
・大型動物が死滅して中小動物が出現。
・海面が上昇して日本列島が形成された。
こんな感じです。
いきなり細かいところに行くのではなく、ここもまずは概観でいいんです。
では、ここからさらに知識をつけていきましょう。
・大型動物が死滅し、中小動物が出現。
中小動物を弓矢で仕留めるようになった。弓矢の鏃には、尖ったものが必要⇒磨製石器の登場
中小動物は追い掛け回すことが難しい⇒定住する
・海面が上昇して、日本列島が形成。
海で囲まれるようになった⇒食料を海に求めるようになる⇒漁労を行うようになる。
魚や貝のごみが出る⇒1か所にまとめておく⇒貝塚の登場
などなど。
1つの内容に対して、様々な変化がみてとれるはずです。
このように、1つの要因に対してたくさんの変化の内容を紐づけること。これが日本史学習をする上で非常に重要です。
語句を1つ1つばらばらに覚えようとする人が多いと思いますが、これでは日本史探究の内容をすべて覚えることは難しいです。
3.語句は何度もアウトプットしよう
これまでの例でいえば、歴史上の重要語句は「弓矢」や「貝塚」ですよね。
では、これをアウトプットしようとしたとき、みなさんは
「弓矢弓矢弓矢弓矢弓矢弓矢弓矢弓矢…」と書いてはいませんか?
これでは、さっきやった知識の紐づけが一切意味がなくなりますよね。
そうではなく、
このアウトプットとは、【他人に説明できるようにすること】をいいます。
わかりやすく伝えるためにどうしたらいいか?
この軸を忘れないでください。
1つの語句を様々な語句で説明していくことが肝要です。
以上。
よく、歴史学習は「流れ」でつかめといいますが、
ここでいう「流れ」とは上記内容を一言で表したものです。
日本史は特に1つの国の歴史ですので、1本の道で進んでいます。
この記事に出会ったみなさんが、日本史学習のレベルアップができることを願っています。
令和3年度大学入学共通テスト 国語 問題解説<古文>
今回は、第三問<古文>です。
第一問<評論文>の解説記事はこちらです。
第二問<小説>の解説記事はこちらです。
それではいきましょう。
概要
今回は歴史物語の『栄花物語』からの出題でした。
古文は上記現代文の二題と異なり、試行調査の特徴が出ていたように感じます。
昨年のセンター試験と比べ、単語数は減っていましたが、設問と文章を理解することに時間をとられたのではないでしょうか?
総合して、難易度が高かったように感じました。
ただし、早稲田大学の2012年度人間科学部A方式で解いたことがある人にとっては、文意を読み取ることは容易で、設問もほとんど正解を出せたのではないでしょうか?
設問構成
問1はセンター試験と同様、傍線部の意味を問う問題でした。
問2~問5では、試行調査に類似する形式もありますが、基本はセンター試験と同様。しかし、選択肢が絞りにくい問題が多かったと思います。
全体的な話の流れを知っていた(読めた)、もしくは傍線部前後の単語の意味をきちんと理解できた人でないと、正解する数は少なかったのではないでしょうか?
問1 語句の意味 各5点
まず、傍線部の重要単語から考えていくことは変わりません。
(ア)でヒントになるのは、「え~ず」(~できない)と、「まねぶ」(真似をする、見たことや聞いたことをそのまま言う、習得する)です。
まず、これらの現代語訳がきちんと踏まえられていない、①・②・⑤を切りましょう。
そして、③にすぐに飛びつかないこと。
この直前を見てみると、
いへばおろかにて、
とある。
つまり、「言うといい加減になる」と言う意味なので、
亡くなった人を想うと「言葉にならない」
と考え、④が正解になる。
今まで通り、直訳で正解できる問題ではなかったので、面喰ってしまった人もいるかもしれませんね。
(イ)重要単語は「めやすし」(見た目の感じが良い)と「おはす」(いらっしゃる)です。
これは素直に③を選べばよし。
(ウ)重要表現は「未然形+ば」(~ならば)です。まずはこれを判別できることが大事です。
出でなば
となっていますので、「出で」は下二段活用動詞の連用形です。
「な」は助動詞なので、完了・強意の「ぬ」です。
この部分だけ直訳すると、
「出たならば」となります。「已然形+ば(理由)」で訳している選択肢の③と④が切れます。
残る選択肢を切るためには、「里」の意味が大事になります。
「里」には、旧都の意はありません。自宅(住まい、実家)の意味があります。
したがって、①が正解となります。
問2 傍線部Aの理由 7点
この問題は2012年早稲田大学人間科学部A方式の問15で全く同じ問題が出ています。
すでに解いたことがある方は自信をもって解答できたと思います。
見たことない方もご安心ください。解説文を見ればお分かりになるかと思います。
まず注目しなければいけないのは、傍線部直前
内裏わたりの女房も、さまざま御消息聞こゆれども、よろしきほどは、
とあります。
また、これと似た文章が2行前にあります。
宮々よりも思し慰むべき御消息たびたびあれど、ただ今は夢を見たらんようにのみ思されて過ぐしたまふ。
これらの意味をざっくりとると、
長家は、妻が亡くなり、非常に落ち込んでいる。いろいろな人が慰めの連絡をくれるけれども、きちんと返す余裕がない。
ということになります。
「よろし」の意味は、「まずまず、悪くない」です。
したがって、①が答えになります。
傍線部の「今みづから」だけではわかりにくいので、どういう心情なのかを読み取りましょう。
問3 傍線部Bの語句や表現の説明 6点
まず、傍線部の重要な部分は、
「もてまゐりにける」と「思い出できこえさせたまふ」です。
どちらも敬語が使われていますので、見ていきましょう。
「まゐり」は謙譲語です。今回は動詞の後ろについているので補助動詞。
訳は「~し申し上げる」です。
つまり、傍線部前半は
「持っていき申し上げた」となります。
持っていったものは、1行前にあります。
この夏の絵を、枇杷殿にもてまゐりたりしかば~~
ここから、亡き妻が書いた夏の絵を持って行ったことがわかります。
次に、「させたまふ」を見てみましょう。
これは二重敬語(最高敬語)です。
したがって、後半部は
「思い出し申し上げなさる」です。
これら2点を踏まえると、④と⑤が切れます。
④で「すべて焼失」しているのは傍線部以降に記述がありますが、「自身の家に帰ったときに取り出して見よう。」と言っていますので、すべてではありません。
⑤は二重敬語の理解ができておりませんのでNG
③は訳ではよさそうなのですが、「それでもやはり」と訳すのは、「なほ」や「さすがに」です。
「ままに」は、「~つれて、~の通りに、~するとすぐに」です。
それでは、①と②が残ります。
正解は①なのですが、②の違う点を見てみると、
「妻とともに過ごした日々に後悔はない」の部分です。
現代語としてみると、合っていそうですが、前後の文章で長家が妻のこと、妻が描いた絵のことを回想していることから、妻との思い出を忘れられずにいる
とわかります。
問4 登場人物の説明
それぞれの人物について書いてある箇所を注意深く見てみましょう。
①「大北の方」は1行目で
大北の方も、この殿ばらも、またおしかへし臥しまろばせたまふ。
と書いてありますので、みんなと同じく悲しみにやられています。
②「僧都の君」は3~4行目で
とありますので、見ることができなかったのは亡骸ではなく、亡骸を運ぶ御車です。
③長家は一見すると合っていそうですが、7行目は
ただ今は夢を見たらんやうにのみ思されて過ぐしたまふ。
と書いています。
「見たらむ」を細かく見ていくと、
「見・たら(完了・存続)・ん(む)(婉曲)」と品詞分解できます。
訳としては、
「夢をみているような」です。
したがって、選択肢内の「夢であってくれればよい」とまではいかないです。
④「進内侍」は最初の和歌を詠んでいます。
契りけん/.千代は涙の/水底に/枕ばかりや/浮きて見ゆらん
最後の助動詞「らむ」は「現在推量、現在の原因推量、現在の伝聞・婉曲」です。
今回は、係助詞の「や(疑問・反語)」が直前にありますので、現在推量でいいでしょう。
したがって、長家に対して詠んでいますので、主語が違いますね。
正解は⑤です。
傍線部(イ)の直後が解答の根拠部分です。
問5 和歌の解釈 各8点
設問内に文章が置かれ、それを踏まえて解答するのは現代文・小説と同じですね。
まずは与えられた文章をきちんと読みましょう。
正解は③と⑥です。
①は、「ありきたり」、「誠意のなさ」が言いすぎでしょう。そもそも、長家は返答する相手を絞っています。(問2参照)
②は後半部分、「悲しみをなんとか慰めよう」ではなく、「先立たれることはもっと悲しい」と言っているのでNG
④は「悲しみを癒してくれた」ではありません。
⑤は後半「亡き妻との思い出の世界に閉じこもってゆく」が和歌の意味と異なります。
また、Yの和歌にある「方」は「人ではなく、方法」です。
まとめ
いかがでしたか?
新傾向の問題が出てきましたが、やっぱり勝負を分けるのは
「古文単語」や「助動詞・助詞」の知識です。
知らない問題形式であっても、文意をきちんととることは変わりません。
重要語句はきちんと覚えておくことが必要です。
また、単語帳の意味が複数ある場合にはすべて覚えておきましょう!
今回の国語の問題の中で、古文が一番難敵だったと思います。
ここで時間をロス、失点が重なった人も多いのではないでしょうか?
次回は国語編最終回の第四問<漢文>を解説します。
令和3年度大学入学共通テスト 国語 問題解説<小説>
今回は、第二問<小説>について解説を行っていきます。
第一問<評論文>の解説はこちらからどうぞ。
- 概要
- 設問構成
- 問1 語句の意味 各3点
- 問2 傍線部A「擽られるような思」とはどんな気持ち? 6点
- 問3 傍線部B「何だかやましいような気恥しいような、訳の分からぬ一種の重苦しい感情」の説明 7点
- 問4 傍線部C「私」が「妻君の眼」を気にする理由 8点
- 問5 傍線部D「私」の行動の説明 8点
- 問6 新傾向(共通テストらしい問題) 各6点
概要
問題文は加能作次郎『羽織と時計』から出題されました。
文章自体読みやすかったため、そこまで「苦戦した!」という印象はないのではないでしょうか?
設問もセンター試験と同様の形式がほとんどでした。
しかし、問6は資料をもとに、作品を多角的かつ批判的に見ることが求められたような問題が出題されました。
急な変化球が来たために戸惑った方も多いと思います。
小説の解き方は昨年のセンター試験<小説>で語っておりますので、ご参照ください。
設問構成
問1は語句の本文中の意味を答える問題。センター試験と変わらずでした。
問2~問5は小説の王道的質問に対して答える問題。
問6は新傾向でした。宮島新三郎「師走文壇の一瞥」が資料として提示され、問題文に対する批評を踏まえて答えを出す問題です。
評論文と同じく、最終設問でひねった問題が出ました。
それでは、各設問詳細解説にいきましょう。
問1 語句の意味 各3点
難易度はセンター試験同様です。まずは辞書的な意味から選択肢を絞り、文章の前後との繋がりから解答を行う問題でした。
今回の傍線部は聞きなれない言葉ではなかったと思います。
(ア)術もなかった
これは「打つ手なし」や「どうすることもできない」と言い換えできます。
(イ)言いはぐれて
全体としては聞いたことがあまりないかもしれませんが、「はぐれて」の部分に注目してみましょう。
「はぐれる」という言葉の意味は、
-
1 連れの人を見失って離ればなれになる。「人込みで一行に―・れる」「群れに―・れた子羊」
-
2 その機会をのがす。「仕事に―・れる」
-
3 動詞の連用形に付いて、…する機会を失う意を表す。…しそこなう。…しそびれる。「飯を食い―・れる」
です。*1
今回は、2の意味ですね。
(ウ)足が遠くなった
これはよく耳にするのではないでしょうか?
「今までよく行っていた場所に行かなくなる」ことです。
ここは正直言ってサービス問題だと思いますので、全問正解したいですね。
問2 傍線部A「擽られるような思」とはどんな気持ち? 6点
まずは傍線部の言葉を整理してみましょう。
「擽られる」とはムズムズした感じですよね。
しかしそれだけでは答えは出ません。
では、なぜムズムズした感じになっているのか?
【原因・理由】→【心情】→【発言・行動】
を考えれば原因は傍線部より前にあるはずです。
すると、問1で解答した(イ)の傍線部付近にいいヒントがあります。
妻は、私がその羽織を着る機会のある毎にそう言った。私はW君から貰ったのだということを、妙な羽目からつい言いはぐれて了って、今だに打ち明けていないのであった。
また、傍線部A直後に、
そんなことを言って誤魔化して居た。
とあります。
つまり、立派な羽織だと妻に言われるが、実はW君にもらったものだと打ち明けられていないため、ムズムズした気持ちになっている。
ということがわかりますね。
この3点をきちんと踏まえているのは、③です。
他の選択肢では要素が欠けていたり、傍線部の「擽られる」を踏まえていない選択肢ばかりなのですぐに解答できたと思います。
問3 傍線部B「何だかやましいような気恥しいような、訳の分からぬ一種の重苦しい感情」の説明 7点
傍線部の説明問題ですので、言い換え問題ですね。
今回の傍線部で一番重要な語句は、「重苦しい感情」です。
傍線部と近い内容が記載されているのが、41行目です。
私の為に奔走して呉れたW君の厚い情誼を思いやると、私は涙ぐましいほど感謝の念に打たれるのであった。それと同時に、その一種の恩恵に対して、常に或る重い圧迫を感ぜざるを得なかった。
とあります。
「私」はW君から羽織と時計という身につける中で最も高価なものが2つともW君から送られています。
その恩恵に対して「重い圧迫」を感じているわけですね。
これらを踏まえると、①が正解です。
これ以外の選択肢は、引用部分の説明からずれています。
この問題もきちんと根拠となる箇所さえ見つけることができれば正答するのは難しくないので、正解しておきたい問題です。
問4 傍線部C「私」が「妻君の眼」を気にする理由 8点
この問題も小説読解のセオリー通りいきましょう。
傍線部より前のヒントは
46行目~
W君は、その後一年あまりして、病気が再発して、遂に社を辞し、いくらかの金を融通して来て、電車通りに小さなパン菓子屋を始めたこと、自分は寝たきりで、店は主に従妹が支配して居て、それでやっと生活している(中略)一度見舞旁々訪わねばならぬと思いながら、自然と遠ざかって了った。
とあります。
傍線部以降では、57行目~64行目までが「私」が「W君の妻君」を恐れる理由について書かれています。
これら2か所のヒントを活かして選択肢を見ると、正解は①だとわかります。
他の選択肢では、「W君の状況」や「W君の妻君を恐れる理由」が正しく表現されていません。
※余談ですが、皆さんも学校や塾、習い事などを一定期間休んでしまうと、「行きたくないなぁ」と思いませんか?
「もしかしたらずる休みだと思われているかもしれない。陰口を言われているかもしれない。休んだ理由をものすごく聞かれるかもしれない。」と被害妄想をしてしまいませんか?
「私」のこう考えてしまう気持ちを「わかるなぁ…」と思って読んでしまいました。
問5 傍線部D「私」の行動の説明 8点
67行目~
私は何か偶然の機会で妻君なり従妹なりと、途中ででも遇わんことを願った。
とあります。
さらに、傍線部直後に
実はその折陰ながら家の様子を窺い、うまく行けば、全くの偶然の様に、妻君なり従妹なりに遇おうという微かな期待をもって居た為であった。
とあります。
つまり、
【偶然を装って】会えることをうっすら期待しているのです。
この要素がきちんと描かれている選択肢は⑤です。
しかし、「今更妻に本当のことを打ち明けることもできず」はダイレクトに根拠になる部分を探すことができません。
なぜなら、「私」が妻に打ち明けたという記述がないからです。
つまり、前半で羽織のお話がありましたが、「あれ以降もきちんと打ち明けていないまま過ごしている。」という読み方ができます。
この問題は、消去法でもよいかと思います。
問6 新傾向(共通テストらしい問題) 各6点
今までの問題と打って変わって、共通テストの目指した姿と言えそうな問題です。
宮島新三郎「師走文壇の一瞥」が設問の中心となりました。
基本的には資料から解答を出す問題ですので、本文と行ったり来たりしていると混乱し、よくわからない答えを出してしまうかもしれませんね。
(ⅰ)二重傍線部の説明
これはすんなり解けた方が多いのではないでしょうか?
二重傍線部直前が解答の根拠です。
④が正解です。
(ⅱ)評者とは異なる見解はどれか?
これは、「誤っているものを選べ」問題です。
こういう問題では、合っている選択肢には「なんとなく合ってそうだな…」と明確に選択肢を切ることができないようにできています。
したがって、「確実に違うぞ!!!」とみなさんのセンサーが働くまで、解答を出さないでください。
このような問題は私立大学でも出題されますので、待つことを恐れないでください。
今回は、④が正解です。
④の後半にある
「私」が切ない心中を吐露していることを重視すべきだ
が、(ⅰ)で解答した内容と全くかみ合いません。
「もっとW君の周りのことを描いてよ!!!」と言っていた評者が、(ⅱ)になると
「もっと『私』の心情を重視すべきだ!!!」と言っている
これはないですよね。
つまり、(ⅰ)で正解を出しやすくしている分、(ⅱ)で考えさせる問題を出したのではないでしょうか?
以上です。
冒頭でも記述しましたが、第一問の<評論文>と同様に、最後の設問以外はセンター試験を踏襲した問題でした。
来年はもっと変わるのか?それとも今年と同じなのか?
気になります。
次回は、超難問ともいえる、第三問<古文>を解説します。
*1:goo辞書逸れる(はぐれる)の意味 - goo国語辞書
より
令和3年度大学入学共通テスト 国語 問題解説<評論文>
2021年1月16日、17日で大学入学共通テスト第1日程が行われました。
受験生のみなさん、お疲れ様でした。
昨年もやりましたが、大学入学共通テストの国語の詳細解説記事をあげていきます。
今回は第一問の評論文です。
- 概要
- 設問構成
- 問1 漢字の知識 各2点
- 問2 傍線部A「民間伝承としての妖怪」とは何か? 7点
- 問3 傍線部B「アルケオロジー的方法」とは何か? 7点
- 問4 傍線部C「妖怪の『表象』化」とは何か? 7点
- 問5 新傾向(共通テストらしい問題)
概要
問5の(ⅲ)を除いて、センター試験の問題と大差ないなというのが第一印象です。
問題文は香川雅信『江戸の妖怪革命』から出題されました。
「妖怪」に対する考え方が、時代とともにどのように変化したかがメインテーマです。
従って、本文中で気を付けるべきは各時代ごとの「妖怪観」の特徴です。
順序立てて説明されていますので、特徴はつかみやすかったのではないでしょうか?
また、問5の(ⅰ)を先に見ておけば、段落ごとの要約がほとんどしてありましたので、読解する際のヒントになったかと思います。
問題冊子全体をさらっと確認している人には、簡単だったかもしれませんね。
また、本文では、「」がついた語句が多く登場していました。
「」をつける=辞書の意味に加えて、筆者が特別な意味を込めたい言葉ということです。
前後の文章から、きちんと理解できていたでしょうか?
設問構成
問1は漢字の問題。これはセンター試験から変わらずでした。
しかし、選択肢がセンター試験の5択から4択に減っていました。
問2~4は傍線部の説明問題。語句の言い換えがきちんとできることが肝要です。
問5は本文の理解が試される問題でした。出題の意図は大学入学共通テストが目指していたものと近いと思います。
特に、(ⅲ)は芥川龍之介の『歯車』が引用として出てきています。
この問題はあまり本文とのリンクはないので、資料を読み込む必要がありました。
それでは、詳細解説に移ります。
問1 漢字の知識 各2点
難易度はセンター試験と同様です。
配点も変わっていないので、落としたくないですね。
(ア)民俗 ①所属 ②海賊 ③良俗 ④継続
(イ)喚起 ①召喚 ②返還 ③栄冠 ④交換
(ウ)援用 ①沿線 ②救援 ③順延 ④円熟
(エ)隔てる ①威嚇 ②拡充 ③隔絶 ④地殻
(オ)投影 ①投合 ②倒置 ③系統 ④奮闘
問2 傍線部A「民間伝承としての妖怪」とは何か? 7点
第3段落が解答の根拠にピッタリでしょう。
第3段落1行目に、
妖怪はそもそも、日常的理解を超えた不可思議な現象に意味を与えようとするミンゾク的な心意から生まれたものであった。
とあります。
また、3行目~5行目で
ところが時たま、そうした日常的な因果了解では説明のつかない現象に遭遇する。それば通常の認識や予見を無効化するため、人間の心に不安と恐怖をカンキする。 このような言わば意味論的な危機に対して、それをなんとか意味の体系のなかに回収するために生み出された文化的装置が「妖怪」だった。
とあります。
これらをわかりやすい言葉に変えるのであれば、
【非日常の理解不能な現象に「妖怪」という意味を与えることで、通常の理解の範囲に収めようとすること】です。
もっと崩した考え方をするのであれば、妖怪ウォッチを想像してみましょう。
不可解な出来事に対して、「妖怪のせいだ!」と決めていませんでしたか?
横暴な言い換えになりますが、そのようなものだと思ってください。
これらを踏まえると、正解は①になります。
②は「フィクションの領域においてとらえなおす」が傍線部直前の「切実なリアリティをともなっていた」と異なる
③は「未来への不安」が根拠部分と関係なし
④は「意味の体系のリアリティ」が根拠部分と関係なし
⑤は「人間の心に生み出す」が異なる。無理やり理解しようとした結果が「妖怪」なのである。
問3 傍線部B「アルケオロジー的方法」とは何か? 7点
これは比較的難しかったのではないでしょうか?
「アルケオロジー」は第7段落以降に詳しく書いてあります。
まず第7段落1行目に、
アルケオロジーとは、(中略)フーコーの言うアルケオロジーは、思考や認識を可能にしている知の枠組み(中略)の変容として歴史を描き出す試み
とあります。
また、第8段落1行目から、
このエピステーメーの変貌を、「物」「言葉」「記号」そして「人間」の関係性の再編成として描き出している。
とフーコーを例に出して紹介しています。
今度は筆者の言葉で、第9段落2行目から、
この方法は、同時代に存在する一見関係のないさまざまな文化事象を、同じ世界認識の平面上にあるものとしてとらえることを可能にする。
とあります。
つまり、「アルケオロジー的方法」というのは、
知の枠組みの時代による変容を記述する
ということです。
これらに合致する選択肢は②ですね。
①は「考古学の方法に倣い」としている部分がフーコーの意図するアルケオロジーと異なる。
③は「要素ごとに分類」が上記引用の筆者の狙いと異なる。
④は「ある時代の文化的特徴を社会的な背景を踏まえて分析し記述する」が【時代による変容】を踏まえていないためNG
⑤は「大きな世界史的変動として描き出す」ことは、「アルケオロジー的方法」を行うことによって可能になることであり、設問で聞いている「アルケオロジー的方法」そのものではないので、NG
⑤は騙された人が多い気がします。
問4 傍線部C「妖怪の『表象』化」とは何か? 7点
第11段落~の内容が重要です。
第11段落では、中世における妖怪の役割を紹介しています。
すなわち、妖怪は神霊からの「言葉」を伝えるものという意味で、一種の「記号」だったのである。
次に、第12段落で近世の妖怪について記述があります。
近世においては、「記号」は人間が約束事のなかで作り出すことができるものとなった。 これは、「記号」が神霊の支配を逃れて、人間の完全なコントロール下に入ったことを意味する。こうした「記号」を、本書では「表象」と呼んでいる。
また、第14段落に
「表象」は、意味を伝えるものであるよりも、むしろその形象性、視覚的側面が重要な役割を果たす「記号」である。(中略)そしてキャラクターとなった妖怪は完全にリアリティを失い、フィクショナルな存在として人間の娯楽の題材と化していった。
とあります。
神霊の働きを告げる「記号」(コントロール不可)から、
人間の約束事のなかで作り出すことができる「記号」(コントロール可)=キャラクターになったため、
娯楽の題材に変化した。
ズバリ、正解は②です。
①は「人間が人間を戒めるための道具になった」が本文と異なる。
③は「人間世界に実在する」がリアリティのためNG
④は紛らわしいですが、「きっかけ」ではなく、「帰結(結果)」です。
⑤は「人間の性質を戯画的に形象した」が本文と異なる。
④と悩んだ、解答した人が多かったのではないでしょうか?
問5 新傾向(共通テストらしい問題)
(ⅰ)段落ごとの要約 5点
文章をきちんと読めば解けると思いますので、割愛します。
正解は④です。
(ⅱ)本文の言い換え 各3点
Ⅲは問4の解説を参照していただければ、③しかないとわかるでしょう。
Ⅳは、第15段落と第16段落が解答の根拠となる段落です。
第16段落に
ところが近代になると、この「人間」そのものに根本的な懐疑が突きつけられるようになる。人間は(中略)容易に妖怪を「見てしまう」不安定な存在、「内面」というコントロール不可能な部分を抱えた存在として認識されるようになったのだ。
とありますので、④が正解ですね。
(ⅲ)新しい傾向の問題 8点
芥川龍之介の「歯車」の一節を読み、内容を読み取る問題でした。
本文とのリンクする部分が非常に少ないので、難しかったのではないでしょうか?
ドッペルゲンガーの説明と、引用の文章をリンクさせると、解答は②になります。
以上です。
最後の問題が頭を悩ませていたのではないでしょうか?
次回は第2問の小説を解説します。
ぜひご覧ください。
【受験生必見】大学入学共通テストを解く際の注意事項まとめ
年明けからだいぶ日が経ってしまいましたが、本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
年が明け、すぐに緊急事態宣言が発令されました。
大学入試に関しては特段影響はないとのことですので、今まで通り実施される方針です。
※私立大学の一般入試については随時変更の可能性がありますので、必ず受験する大学のHPをご確認ください。
さて、今週末に迫った大学入学共通テスト第1日程ですが、準備は進んでいますか?
センター試験時代には、“ただ問題を解くだけではない“部分が存在していました。
当然、大学入学共通テストでもそれは残っている部分もありますので、解く際の注意事項をお教えします。
- 1、受験番号と試験会場コードを記載・マークすべし!
- 2、試験開始直後、問題冊子を全部パラパラめくるべし!
- 3、問題は最初から解き始めるべし!
- 4、問題文にも解答の痕跡を残すべし!
- 5、見直しは2周すべし!
- 6、休憩時間は次の科目の復習をすべし!
1、受験番号と試験会場コードを記載・マークすべし!
これはどの科目でも必要です。
科目ごとに配布されるマークシートに、受験番号と試験会場コードを記入・マークすることを忘れないでください。
配布された際に必ず指示が出されますので、一番先に行いましょう。
※理社科目は、具体的な試験科目をマークすることになります。
物理基礎や世界史Bなど、科目のマークも忘れずに行いましょう。
2、試験開始直後、問題冊子を全部パラパラめくるべし!
試験開始直後から、問題を解き始めてはいけません。
必ず、問題冊子をすべて見通してから解き始めてください。
なぜなら、今回の共通テストは過去問がないからです。
各予備校が作成した予想問題は解いてきたかもしれませんが、それが当たっているとも限りません。
つまり、今まで解いてきた問題形式とは異なる可能性があるため、一度問題冊子をすべて見通して、特殊な問題がないかチェックしてから解き進めるようにしましょう。
皆さんが練習していた時と同様の読解ペースでいいのか、特殊な問題が出てそうであればペース配分を変更したほうがいいのかを考える時間をしっかりとりましょう。
後で気付いて「なんだこれ…」となってからでは心を落ち着けることができず、それ以降は平常心で解くことができません。
3、問題は最初から解き始めるべし!
英語の長文問題から解く人、国語の古文から解く人、数学の得意な分野から解く人
それぞれいると思いますが、最初から解き始めることをオススメします。
上記のように、途中から解き始めることは、マークミスにつながりやすいからです。
途中から解き始めることを極めていなければ、「配点が高いから」という安易な理由で解き方を変更しないほうがいいです。
4、問題文にも解答の痕跡を残すべし!
これは皆さん実施されていると思いますので、わざわざ言うことではないと思いますが、見直しをする際に、きちんとマークがされているかチェックするために解答の痕跡を残しておきましょう。
これがないとマークしたものが自分の意図と合致しているか確認ができません。
5、見直しは2周すべし!
1回解き終わり、見直しをすることになると思います。
見直しをする際には、下記に注意しましょう。
- マークミスをしていないか。
- 問題用紙の解答の痕跡と合っているか。
- 受験番号と試験会場コードを記載・マークしているか。
- 受験科目のマークをしているか。
以上です。
特に、問題のマーク番号と自分自身の解答がきちんとつながっているか確認をしましょう。
試験中は気付かなくても、うっかり同じ解答番号にマークしてしまって、それ以降マークがずれている可能性があります。
そして受験番号と試験会場コード、受験科目のマークは最後の最後にきちんと確認しましょう。
これがなければ0点です。
6、休憩時間は次の科目の復習をすべし!
科目ごとの休憩時間に、近くの友人と話をすると、必ずと言っていいほど「さっきの科目の答え合わせ」が行われてしまいます。
正直言って、その時間は無駄です。
受験生同士での答え合わせは意味がありません。ただ不安になるだけです。
休憩時間に振り替えることはやめて、次の科目の復讐をしましょう。
予習をする際には、やった範囲で勘違いしていないことを確認する程度で構いません。
くれぐれも、新しい内容をやらないこと。
受験会場で手に入れた知識のせいで、今まで定着していた知識が不安定になる可能性があります。
試験会場では、「失点しない」ということを最重要視してください。
以上です。
入試改革により名称がセンター試験から大学入学共通テストに変わりました。
(内容はほとんど変わっていません。)
コロナ禍で準備が難しい1年を過ごしてきたと思います。
当日を安全かつ健康に迎えられ、平常心で受験が終わることを祈っています。
この記事に出会った皆様が良い結果を残せますように。
2021年度 青山学院大学の一般選抜が狙い目?駿台模試の志願者減が明らかに
また新型コロナウイルスの感染者数が急増しています。
大学入試では学校推薦型の出願がそろそろ〆切になることでしょうか。
今後の動向によって入試の実施方法が変更になる可能性もありますので、大学のHPや受験生サイトを注視しておきましょう。
さて、本日は
【青山学院大学の一般選抜が狙い目か?】
ということについてお話したいと思います。
青山学院大学の一般選抜は受験科目や出題内容が大幅に変更になっています。
ぜひこちらの記事もご確認ください。
大きな変更を行い、業界では注目度が高い青山学院大学の一般選抜ですが、9月実施の駿台模試の結果を見ると、やはり志願者が減っていました。
考えられる理由は、
- 駿台模試を受けるハイレベル層だから。
- 独自問題が面倒くさい
だと思います。
基本的に、駿台模試はいろいろな模試の中でも難易度が高いのが特徴です。
受験者層のレベルも高く、上位の国公立大学や早慶レベルを受験する方のみが受けるといっても過言ではありません。
今回の参照元の模試は9月に行った共通テスト模試なので、記述模試よりは幅広い受験生がいると思いますが。
また、独自問題で小論文を書かされるようになることが多い青山学院大学の一般選抜は、正直言って面倒くさいです。
第一志望なら全力で対策しますが、併願であれば独自の対策はしたくないはずです。
特に今年の受験生はコロナ禍で、勉強量は一人ひとりの自主性に大きく左右されてしまいます。
したがって、入試が変わる上智大学、立教大学、青山学院大学は一般選抜での志願者が減っているのだと思います。
逆に、ほとんど入試を変えない、明治大学や法政大学、中央大学は志願者が大きく減っていません。
駿台模試の受験者からすれば、
「個別対策が面倒な大学は受けません。」
ということなのでしょうね。
参照元はこちらです。(16分~37分ほどまで)
逆に言うと、
青山学院大学の志望度が高い方にとっては、大チャンスかもしれません。
第2志望までに青山学院大学が入っている方は、今からでも遅くありませんので、一生懸命対策を行いましょう。
青山学院大学は同日併願をすることもできます。
つまり、午前と午後で違う学部の入試を受けることができるのです。
詳しくは、こちらをご確認ください。
新型コロナウイルスがどうなるかわかりませんが、1日で2回受験できるようになることは受験生にとってはメリットだと思います。
ただ、1日に2回受験するというのは精神的にかなりの負担がかかります。
次の日にも受験があり、志望度が高い場合にはよく考えて出願してくださいね。
※今回の記事は駿台模試の結果のみをみて書いています。
河合塾の全統模試をはじめ、その他の模試の結果について触れておりませんので、必ずしも志願者が減少しているわけではありませんのでご注意ください。
2021年度の一般選抜は志願者減⁉最後まで諦めないで
総合型選抜1回目がほぼ終わり、各大学の状況が見えてきました。
それでは、現状の確認とそこから見える一般選抜の予測についてお話したいと思います。
※あくまで私個人の考えです。実際の状況とは異なることもございます。
1、総合型選抜(旧AO入試)の現状
総合型選抜(旧AO入試)の1回目が終わる、もしくは今週中に試験が行われるところが多いですが、志願者数は昨年並みの大学が多いようです。
【超安全志向】と言われている今年ですが、出足が遅い感じがあります。
その理由は、「大学入試改革とコロナのダブルパンチ」でしょう。
大学側は、大学入試改革によって入試方式や試験内容が大きく変わると謳っていたところも、コロナの影響により再度方向転換をしなければいけない状況でした。
一方で高校生や高校の先生側は、情報収集をするための場がなく、能動的に情報を取りにいかなければいけませんでした。
情報のアップデート回数が多かったこと、情報を取りにいかなければいけなかったこと。
大学と受験者を繋いでいたものが一気に機能しなくなってしまいました。
そのため、一番選考が早い総合型選抜は「思った以上に人が集まらない状況」になっているということです。
さらに、「今年は総合型選抜の志願者の質の差が激しい」と言っている大学もあるようです。
志願者の質とは、単に高校の偏差値でレベルが下がったというわけではなく、【志望理由が定まっていない受験生の割合が増えた】ということです。
・自己分析の深さ
・大学分析の深さ
・大学で学びたいことの明確さ
このような内容に関して分析し、文章化できている受験生と、できていない受験生の差が激しいということです。
以上のことから、総合型選抜の1回目については、大学側にとっても受験生側にとっても受けることが難しい状況にあったと考えられます。
しかし、【超安全志向】は依然として業界内で囁かれています。
それでは、受験生はどのような受験方式に集まるのでしょうか?
2、学校推薦型選抜(指定校)に集中しそうだ
ずばり、【学校推薦型選抜(指定校)】に集まると考えられます。
その理由は以下の2つが考えられます。
- 受験すればほぼ100%合格すること
- 入試の準備が他の選抜方式よりも緩いこと
指定校推薦とは、大学と高校の間でお約束をする入試とも言えます。
大学が示す基準をクリアしている受験生であれば、ほとんど100%の受験生が合格します。
この安心感は他の選抜にはありません。
また、指定校推薦の面接は総合型選抜(旧AO)ほど準備することは多くありません。
なぜたくさんの指定校からその大学を選択したのか、その学部で学びたいことなどを話すことができれば大丈夫です。
こちらも、他の選抜とは雰囲気が違います。
したがって、【超安全志向】の受験生は学校推薦型選抜(指定校)を選択する確率が例年よりも高いと思われます。
それでは、一般選抜(旧一般入試)の受験生はどうなのでしょうか?
3、一般選抜の受験生は減る!?
前述の通り、今年の大学入試は【超安全志向】が大きく働くと考えられています。
今年は大学入学共通テスト初年度ということもあり、国公立大学志願者も減少すると思われます。
実際に、大学入学共通テストの出願者数は53万5,244人。2020年度大学入試センター試験の確定出願者数と比較すると、2万2,455人の減少です。
特に、浪人生は昨年よりも大きく減少しています。
これは言い換えれば、最後まで同じ土俵で戦うことができる。
と言えるでしょう。
同級生との闘いがメインですので、勉強量は大差ありません。
4、一般選抜を受けようと考えている受験生へ
一般選抜は修羅の道です。
問題の出題傾向も変わる大学もあります。
周りの同級生は総合型や学校推薦型選抜(指定校)で年内には進路が決まっている人も多いでしょう。
誘惑が非常に多い中、「一般選抜を受ける意味はあるのか?」と悩む人もいるでしょう。
それでも、ぜひ最後まで諦めずに頑張ってほしいです。
今の状況とは全く違いますが、私も一般入試で大学に合格した一人です。
一般入試に向けた受験勉強の中で、私は「自分なりの勉強法」を見つけることができました。
また、
「自己分析」もできました。
・自分のモチベーションの源は何か
・暗記系はどのようにやると習得できるか
・タイムスケジュールはどのようにすべきか
・勉強に適した周りの環境は何か
・ストレス発散方法はなにがいいか
このような経験は一生に一度きりです。
「浪人できない。浪人は嫌だ。」と何度思ったかわかりません。
でも、そうならないために「今何をすべきか。」をきちんと考え、自分に合った勉強法で地道にやってきたおかげで今の自分があると確信しています。
第一志望じゃなくてもいいんです。
一生懸命人生をかけて勉強に捧げてきた日々が、その経験があなたの財産になります。
努力は必ず実を結ぶわけではありません。
でも、どんな世界であれ、努力していなければ成功し続けることはできません。
ぜひ、自身の未来のためにもう一度上を向いて頑張ってください。
【保護者必見】コロナ禍で浮き彫りになったいい学校の3つの条件【私立中学、高校】
コロナ禍で学校説明会が中止、縮小傾向にあります。
徐々に再開していますが、密を回避するために人数を制限しての開催となり、残念ながら落選した方もいるのではないでしょうか?
情報があふれてしまい、自分が欲しい情報収集がしにくいこの時代だからこそ、学校を見るための視点と【いい学校の条件】を皆様にお伝えしたいと思います。
※あくまで私個人の見解ですのでご了承ください。
1、オンライン授業への対策がはやかった
私立中高では、「ICT教育に力を入れている」と謳っている学校ばかりです。
しかし、ICT教育を応用し、オンライン授業への移行を示したのは学校により様々です。
多くの学校ではGW明けから移行していますが、それよりもはやくオンライン授業へ移行していれば「その学校のICT教育が進んでいる」と言えるでしょう。
はやく移行できる=ICT教育が浸透していると言い換えることができそうです。
2、オンライン授業が双方向型で行われている
オンライン授業には、3つの方法があります。
- リアルタイム型(双方向型)=対面の授業同様、時間割がありそれに従って授業を受ける方法。授業スタイルが対面からオンラインに変わっただけ。生活リズムは基本的に通学時と大きく変わらない。
- オンデマンド型(動画配信型)=事前録画した授業動画をYouTube等へアップし、生徒が視聴する方法。生徒の好きなタイミングで動画を視聴できるが、生活が乱れる可能性がある。
- 課題配信型=課題をGoogle classroom等へアップロードor配送し、提出させる方法。
それぞれ、運営していく際の難易度は1>>>>2>>3の順です。
リアルタイム配信を行う場合には、家庭の通信環境に留意する必要がありますが、それを除けば問題点は他の2つより少ないです。
生徒同士のコミュニケーションも取りやすいですし、真のアクティブラーニングともいえる教育活動が実践できていると言えるのではないでしょうか?
大学ではオンデマンド型にすることで講義の視聴率は上がっているようですが、中高であれば生活リズムも重要だと思います。
したがって、オンライン授業を採用していたとしても、どの方式を使っていたのか?が学校を見る際に重要になるでしょう。
3、登校不可期間に生徒との面談はしていたか?
これは生徒のフォロー、ケアになる部分です。
オンライン授業はどの方式であれ生徒の理解度をはかるのが非常に難しいです。
したがって、学習から取り残されている生徒がわかりにくいため、特にフォローをしていなければ学校再開後の今になって問題点が山積みになっている可能性があります。
通学していれば、小テストや授業の中で周りの生徒との差を推し量る機会が多いです。
しかし、オンライン授業ではリアルタイム型であっても、そのような機会はあまり多くありません。
ディスカッションをする上では非常に有効な手段ですが、個人の理解を深める活動は難しいものがあります。
その対応策として、生徒との面談(話す時間)が重要になるのです。
生徒が不安に感じていること、躓いている部分をきちんと把握して生徒に寄り添っていくこと。
これこそ私立中高に求めるものではないでしょうか?
ぜひ学校を見る際には上記3点に注目してみてみてください。
再度申し上げますが、これはあくまで私個人の考えです。
オンライン授業の方式については、ぜひ学校がなぜその方法を取り入れていたのかを聞いてみてください。
生徒の家庭状況をよく知っているのは学校です。
通学している生徒の家庭環境に合わせて実施したものであれば、皆様も納得できるのではないでしょうか?
そろそろ佳境に入ってくる中学受験、そしてこれから志望校が具体的になってくる高校受験の参考になれば幸いです。